ディジタル回路実験

Lab2: 交流回路設計(キルフヒホフの電流則、発光ダイオード(LED)、トランジスタ、非安定マルチバイブレータ)

キルヒホフの電流則の確認と、LEDを使って交流を目に見えるようにします。
トランジスタを使った非安定マルチバイブレータ回路により、交流(ディジタル波形)を発生させます。

実験1(キルヒホフの電流則)

実験原理

キルヒホフの電流則は回路中の1点に流れ込む電流の和 I i1 + I i2 + ... + I in は、流れ出す電流の和 I o1 + I o2 + ... + I om に等しいことを示している。



図2−1:キルヒホフの電流則

実験機材

実験手順

  1. 配布された3本の抵抗の両端にデジタルマルチメータのケーブルを接続し、 抵抗値を測定し記録せよ。
    100kΩの抵抗の測定値:R 1 =               [Ω](使用した測定レンジ:              

    220kΩの抵抗の測定値:R 2 =               [Ω](使用した測定レンジ:              

    330kΩの抵抗の測定値:R 3 =               [Ω](使用した測定レンジ:              

  2. 直流電源装置を何も接続せず電源スイッチを入れ、電圧調整ダイヤルを回し、デジタルマルチメータを使って出力電圧がちょうど 5.000 V になるように調整せよ。
    ちょうどに調整できない場合は、多少のズレがあっても良い。電圧調整が終ったら、一旦電源スイッチを切ること。
  3. ブレッドボード上に次の回路を作る。
    作り終ったら接続間違いがないか何度も確認せよ。
    (何度も書くが、人間はいくら注意しても間違える動物である。自分を過信しないこと)


    図2−2:実験1の回路図

  4. 直流電源装置の電源スイッチを入れ、出力の電源電圧 V [V] および各抵抗の両端の電圧 V R1, V R2, V R3, [V] をデジタルマルチメータで測定せよ。
    このとき、デジタルマルチメータに表示される値が予想した値と大きく違う場合や、焼損による異臭等が 発生した場合にはすぐに電源スイッチを切り、作成した回路に誤りがないかどうかを確認せよ。特に焼損した場合にはその部品は使用できなくなる場合がある。次に実験する人が迷惑するので、隠さずスタッフに必ず申し出ること。
    直流電源装置の出力電圧 V =               [V]
    抵抗 R 1 の両端電圧 V R1 =               [V]
    抵抗 R 2 の両端電圧 V R2 =               [V]
    抵抗 R 3 の両端電圧 V R3 =               [V]
  5. 上記から求めた抵抗の両端電圧とあらかじめ測定した抵抗の値をもとにして、 各抵抗を流れる電流 I R1, I R2, I R3を計算して 求めることができる。各部の抵抗値、電圧、電流の値を次の表にまとめよ。

    表2−1:実験1の測定結果
    測定した抵抗値 [Ω]測定した両端電圧 [V]計算によって求めた電流 [mA]
    電源装置 V = 
    100KΩ抵抗R 1 = V R1 = I R1 = 
    220KΩ抵抗R 2 = V R2 = I R2 = 
    330KΩ抵抗R 3 = V R3 = I R3 = 
    (電流の値はオームの法則から計算によって求める)

  6. キルヒホフの電流則によると、100kΩの抵抗を流れる電流は、220kΩと330kΩの抵抗に流れる電流にそれぞれ分流する。 上記の結果がそうなっているかどうかを確認せよ。
    誤差がある場合にはその原因について考察せよ。
    検討結果:                                            (詳細に記述せよ)

  7. 直流電源装置からみた、100kΩの抵抗、220kΩの抵抗、330kΩの抵抗の合成抵抗を計算せよ。
    合成抵抗 R =               [Ω](理論値)


    図2−3:合成抵抗

  8. 直流電源装置はあたかも上記で求めた合成抵抗が1つ接続されているものとして動作する。
    この時合成抵抗に流れる電流 I は抵抗 R 1 に流れる電流 I R1 に等しい。
    合成抵抗に流れる電流を合成抵抗値から計算して求め、測定した(抵抗R1の両端電圧から求めた)電流I R1 と比較せよ。
    誤差がある場合にはその原因について考察せよ。

実験2(交流とシグナルジェネレータの利用)

実験原理

直流が時間によらず電圧・電流が一定であるのに対して、交流は電圧・電流が時間によって変化する電気である。
通常家庭用に配線されている AC 100V は正弦波であり、その平均電圧(実効電圧)が 100V になるようにして送電されているものである。 実際の最高の電圧(先頭電圧)はその√2倍の 141V 程度に達する。



図2−4:交流(正弦波)

この交流電圧は、発光ダイオード(Light Emission Diode)がA(アノード)からK(カソード)には電流が流れるが(順方向電流)、カソードからアノードへは電流は 流れない(逆方向電流はほぼ0)性質を使って、目に見えるようにすることができる。
ここでは、交流発生装置としてシグナルジェネレータを使用し、その使用方法をマスターする。

実験機材

実験手順

  1. 交流発生装置として使用するシグナルジェネレータはまだ電源スイッチを押さず、次のように設定する。 シグナルジェネレータの使用方法について詳しくは 「実験指導書(ホームページ版)」を参考にすると良い。

  2. ブレッドボード上に次の回路を作成し、シグナルジェネレータを接続せよ。 発光ダイオード(LED)には極性があるので注意すること。


    図2−5:実験2の回路図

  3. シグナルジェネレータの電源スイッチを入れ、スタートボタンを押した時、2色の発光ダイオードがそれぞれどのように点灯するか観察せよ。
    観測結果:                                                    (記述せよ)
  4. 上記結果が、どうして発生するのか、電気的な理由を示して説明せよ。
    説明:                                                      (記述せよ)
  5. シグナルジェネレータの出力電圧ダイヤルを回して出力電圧を変化させるとどうなるか観察し、その現象について電気的な理由を示して説明せよ。
    観測結果:                                                    (記述せよ)

    説明:                                                      (記述せよ)

  6. シグナルジェネレータの周波数微調整ダイヤルを回して周波数を変化させるとどうなるか観察し、その現象について電気的な理由を示して説明せよ。
    観測結果:                                                    (記述せよ)

    説明:                                                      (記述せよ)


実験3(トランジスタと非安定マルチバイブレータ)

実験原理

トランジスタは、入力電流によって出力電流を制御できる半導体である。
特にシリコントランジスタの内部は一般にダイオードが直列に接続されている構造で、3端子の素子である。 トランジスタには多種あるが、本実験では、NPN型シリコントランジスタを使用する。


図2−6:NPN型トランジスタとその回路図記号

トランジスタを用いると、抵抗、コンデンサ、コイル等と組み合わせていろいろな回路が作成できる。
特に、トランジスタは増幅機能をもち、少ない電流で大きな電流を制御することができる。 本実験でも、発光ダイオード(LED)の点滅の制御をトランジスタで行なう。

また、コンデンサは電気(電荷)を蓄わえることのできる素子である。抵抗とコンデンサを組み合わせることにより、 電荷の充電と放電の時間を調節可能できる。
特に、電解コンデンサは極板間に電解液を満たすことにより、電気容量を大きくしたものである。
ただし、端子には極性があり、必ず電圧が高い側に「+」、低い側に「−」端子を接続する。逆に接続した場合には 電解コンデンサが破裂して内部の電解液が噴出することがある。電解液は人体に有害なので回路に接続する際は何度も接続を 確認すること。


図2−7:電解コンデンサとその回路図記号

トランジスタを2つ組み合わせると、出力が0か1の状態を記憶させる回路ができる(1ビット記憶回路)。

トランジスタ、コンデンサ、抵抗を組み合わせて、0(0Vの状態)と1(5Vの状態)の記憶を連続して繰り返す、 つまり出力波形が交流となる非安定マルチバイブレータ回路を製作し、その動作を確認する。

実験機材

実験手順

  1. 直流電源装置の電圧を3Vに設定して、次の非安定マルチバイブレータ回路をブレッドボード上に作成せよ。
    注:電解コンデンサの極性には特に気をつけること。逆接続した場合は破裂して化学薬品が噴出して大変危険である)


    図2−8:非安定マルチバイブレータ回路

  2. 直流電源装置の電源スイッチを入れ、回路の動作を観測せよ。 2つの発光ダイオード(LED)がどの程度の時間間隔で点滅したかを数値を使って詳細に文章で説明すること。
    観測結果:                                        (記述せよ)

  3. 直流電源装置の電源電圧を0V〜5V程度まで変化させると点滅の時間間隔等についてどのような変化があるか観測せよ。
    また、それはなぜ起こるのか、実験終了後文献等で調査せよ。 2つの発光ダイオード(LED)が最初の状態からどのように変化したかを詳細に数値を使って文章で説明すること。
    3Vより大きくした時の観測結果:                                        (記述せよ)
    3Vより小さくした時の観測結果:                                        (記述せよ)

  4. コンデンサと抵抗を使った充電と放電の動作を確かめるため、作成した回路を改造して「電子ホタル」回路を作成せよ。


    図2−9:電子ホタルの回路

  5. 実用回路は、使う人のことを考えて調整して完成する。
    最も電子ホタルらしく点滅するように、次の中から抵抗 R 5に適切なものを選び、回路の設計値を決定せよ。
    • R 5の選択肢:1kΩ、10kΩ(標準)、22kΩ、47kΩ、100kΩ
    注意:素子の変更は毎回必ず電源装置の電源スイッチを切ってから行なうこと。電源が入ったまま回路を 変更すると、電解コンデンサ等に逆電圧がかかることがあり、破裂または故障することがあります。

    R 5 =         [Ω]のときの点滅の様子:                  (数値を使って説明せよ)

    R 5 =   10k   [Ω]のときの点滅の様子:                  (数値を使って説明せよ)

    R 5 =         [Ω]のときの点滅の様子:                  (数値を使って説明せよ)

    R 5 =         [Ω]のときの点滅の様子:                  (数値を使って説明せよ)

    R 5 =         [Ω]のときの点滅の様子:                  (数値を使って説明せよ)

    (適切と思われる抵抗値はどれか、一つ決定せよ)

レポートの作成と検討課題

上記の実験1〜3をレポートにまとめ提出せよ。
また、検討課題として、抵抗の帯色について調査し、報告せよ。

レポートの書き方は、各机に置いてある「実験指導書」を見るか、 「実験指導書(ホームページ版)」を参考にして下さい。


2011.04.07.
fmiso at sist.chukyo-u.ac.jp