Gate Circuit

実験:ゲート回路・組合せ回路


本実験では,ディジタル回路の基本であるゲート回路の動作を作りながら学びます.

ゲート素子

前回まで行なってきた実験では,回路にアナログ動作をさせていま した.回路の入力を大きくし過ぎると,クリップが起こり出力電圧 が電源電圧以上にならなかったり,0V以下にならないことも体験 できたかと思います.
この極端な状況を使って電源電圧と同じ電圧をHレベル(1レベル), 0Vの電圧をLレベル(0レベル)とすると,2つに一つの状態を 表すことができます.これがディジタル動作で,ディジタル回路動 作の基本です.いくつかの入力によって出力の値が決まるという動 作は信号が門をくぐるというイメージがあり,このような値を演算 する素子をゲート素子といいます

それでは,主なゲート素子を紹介しましょう.

AND素子(論理積)
入力A,BがともにHのときのみ出力XがHになります.
OR素子(論理和)
入力A,BのいずれかがHのときのみ出力XがHになります.
NAND素子(論理積の否定)
入力A,BがともにHのときのみ出力XがLになります.
NOR素子(論理和の否定)
入力A,BがともにHのときのみ出力XがLになります.
NOT素子(否定)
入力AがのHとLが出力XではLとHになります.インバータ 素子とも呼ばれます.
EXOR素子(排他的論理和)
入力A,Bが一致する時のみ出力XがLになります.エクスク ルーシブORと呼びます.
このようなゲート素子はICで実現されています.有名なゲート素 子を実現する半導体としては74シリーズと呼ばれるICがありま す.型番が74から始まることから,この名前が付いています.
ゲート素子74シリーズ型番規格表
AND74LS0874LS08規格表
OR74LS3274LS32規格表
NAND74LS0074LS00規格表
NOR74LS0274LS02規格表
NOT74LS0474LS04規格表
EXOR74LS8674LS86規格表
これらの14ピンのゲートICを動かすためには14番ピンに+5V,7番ピ ンにGND(0V)を接続する必要があります.その他のピン割り当て は上記規格表から調べて下さい.

さて,これらのゲート素子を動かすため,入力として1と0(Hと L)の状態をに作り出す方法について考えます.実はこれは簡単にス イッチと抵抗を使って実現できます.


この用途のために使う抵抗(4.7kΩ)のことを「プルアップ抵抗」といいます.

次は,1と0(HとL)を人間が見てすぐわかるようにする方法に ついて考えます.ディジタル回路ではこのディジタルデータの表示 のためによくLED(発光ダイオード)を使います.発光ダイオー ドはダイオードの一種で,一方向にに電圧を印加したときのみ電流 が流れ発行する半導体素子です.ただし,ダイオードなので,電流 は無制限に流れてしまいます.そこで,抵抗(330Ω)を直列に挿入 して電流制限を行ないます.


このような抵抗を電流制限抵抗といい ます.このように接続することで,消灯のとき1(H),点灯の時 0(L)であることがわかります. p

実験

実験に必要な部品

品名規格・型番個数
74シリーズIC適切な品番適切な数
抵抗330Ω(1/8W)適切な数
抵抗4.7kΩ(1/8W)適切な数
LED適切な数
電線---少々

注意

実験1

NAND(74LS00)回路の動作を確認せよ.

実験2

EXOR(74LS86)回路の動作を確認せよ.

実験3

2桁の2進数を表わす回路を2つ作り,両者の2進数が一致したと きLEDが点灯する回路を設計し製作せよ.

実験4

3個のスイッチのうち2個だけが同時にHの時,LEDが発光する回路 を設計し製作せよ.

実験5

3桁の2進数を10進数に変換する回路(2進数の入力で,10進数の0〜7 に対応させた8個のLEDの一つが点灯する回路)を設計し製作せよ.このように, 2進数を10進数に変換する回路をデコーダという.逆に10進数を入力して2進数に変換する回路を エンコーダという.

考察

  1. 上の実験で,デジタルICの出力がHであるかLであるかを識別するのに, HでLEDの消灯,Lで点灯という直感とは反した回路構成とした理由を述べよ.
  2. 4桁の2進数のデコーダ回路の回路図を示せ.
  3. 10進数0〜15のエンコーダの論理回路図を示せ.

2002.03.28.
fmiso@sccs.chukyo-u.ac.jp